「理念に賛同してくれる人と働きたい」と言われて、企業型訪問看護の“文化”を感じた話

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前回、別の企業型訪問看護ステーションの説明会で、

  • インセンティブ制度
  • 件数
  • 広域待機
  • 営業的な動き

にカルチャーショックを受けた私。

その後、また別の企業型訪問看護ステーションへ見学に行った。

すると今度は、“理念”の熱量に圧倒されることになった。

前回は転職エージェント経由だったけれど、今回は違った。

このステーションは、私が自分で見つけて直接連絡した。

理念もしっかりしているように見えたし、

「ここなら、もしかして合うかもしれない」

と思ったのだ。

だからこそ、実際に見学して感じたカルチャーギャップは、前回以上に大きかった。

現場はアパートの一室だった

見学に行ったステーションは、アパートの一室のような場所だった。

中には机がいくつか並んでいて、私はリビングのソファへ通されて話を聞いた。

ただ、その間、スタッフは誰も帰ってこなかった。

みんな訪問へ出ているのだと思う。

静かな部屋で、理念や行動指針の説明を聞きながら、私はなんとなく不思議な感覚になっていた。

“地域密着の訪問看護ステーション”

というより、

“同じ理念を共有する小さな組織”

みたいな空気を感じたのだ。

「理念に賛同してくれる人と働きたい」

説明の中では、

「理念に賛同してくれる方と働きたい」

という言葉がかなり強く出てきた。

正直、私はかなり戸惑った。

もちろん理念そのものを否定したいわけではない。

「その人らしい人生を支える」

「在宅でも質の高い医療を」

という考え方自体は素敵だと思う。

でも私はどうしても、

「看護師として必要なのって、まず経験や技術、観察力、判断力では?」

という感覚が強かった。

私は“現場型”の看護師だった

私は病院だけではなく、特養や老健でも16年ほど働いてきた。

急性期バリバリのキャリアではない。

でも、どこへ行っても結局求められるのは、

「いつもと違う」

に気づけるかだった。

なんとなく変だな。

この人、ちょっと危ないかもしれない。

受診必要じゃないか。

そういう小さな違和感を拾えるか。

限られた環境で判断できるか。

以前働いていた診療所併設の訪問看護ステーションでも、先輩にこう言われたことがある。

「なんかおかしいな…と思いながら帰ったあと、次に入ったヘルパーさんから“倒れてました”“熱出てました”って連絡来たら、“あー、やっぱり受診させときゃ良かった…”ってなるでしょ?」

「だから、しっかり見てこないとダメなんだよ」

その感覚が、私の中では“訪問看護”だった。

だから私は、

“理念への共感”

より先に、

“現場で利用者さんを守れること”

が、看護師として一番大事だと思っていた。

「ICUや救命センター出身の看護師が多いです」

説明の中では、

「救命センターやICU、小児科、緩和ケアなどで経験を積んだ看護師が在籍しています」

という話も何度か出てきた。

もちろん、それ自体はすごいことだと思う。

でも私はその時、少し居心地の悪さを感じてしまった。

私は特養や老健で長く働いてきた。

だから途中から、

「もしかして、“高度医療側”の経験がある人を求めているのかな…」

「高齢者施設メインの働き方では足りないって思われるのかな…」

と、勝手に気後れしてしまった。

でも実際には、施設看護でも、

  • 観察力
  • 急変予測
  • 限られた環境での判断
  • 生活全体を見る力

はかなり必要になる。

医師が常にいるわけでもない。

だから私はずっと、

“なんとなく変”

に気づけることこそ大事だと思って働いてきた。

創始者の話を聞きながら思ったこと

さらに印象的だったのが、“創始者”の話だった。

「すべての在宅生活を送る方が、最高の医療を受けられるべき」

という強い想いから、このステーションが始まったらしい。

そして、その理念に賛同した人たちが集まり、今の形になっているとのことだった。

もちろん、理念そのものは素晴らしいと思う。

でも私は、

「創始者の想いに共感する仲間が集う」

という空気感自体がかなり新鮮だった。

病院や施設で長く働いてきた私には、

「理念への共感」

をここまで前面に出す職場文化に、最後まで馴染めなかった。

途中から頭の中では、

「これって訪問看護ステーション…? それとも理念コミュニティ…?」

みたいになっていた。

たぶん、お互いに違った

その後も色々話はしたのだけれど、正直あまり内容を覚えていない。

たぶんその頃にはもう、お互いに求めているものが違うと、なんとなく分かってしまっていたんだと思う。

向こうは、

「理念に共感し、一緒に組織を作っていける人」

を探していた。

一方の私は、

「利用者さんをちゃんと見られる看護がしたい」

という感覚が強かった。

もちろん、そのどちらが正しいという話ではない。

ただ、見ている方向が少し違っていた。

そして最後に、

「もし面接を受けたい気持ちがあったら、受けてみてください」

と言われた。

その時の私は、

「いや、たぶんもうお互い違うって分かってる…」

という気持ちだった。

嫌な感じだったわけではない。

むしろ丁寧に説明してくれていたと思う。

ただ、最初から最後まで、

“求めている看護師像”

が、私とは少し違っていた。

同じ「訪問看護」でも、こんなに文化が違うのか。

企業型訪問看護ステーションを見学して、私はそのことを強く感じた。