「俺はできる」が現場を荒らす。勝手な特別ケアの後始末をするのは誰?

標準ケアと言う言葉が辞書にない者達・・・

介護や福祉の現場で、数年働いていると、

それこの前のカンファでケアを統一しましょうって話なったよね・・・!?

話聞いてなかったのかな??と他のスタッフに思うことが増えてきます。

新人の頃なら、まだ利用者さんのことも業務の流れもよく分からない。

だから「そういうものなのかな」と思って見ていることもあります。

でも、何年も働いていると、

「いや、それやったら後で大変になるよね」

というのが、なんとなく分かるようになってくる。

そして、そういう現場を知っている中堅ヒラ職員ほど、勝手なスタンドプレーにイラッとする。

別にリーダーになりたいわけじゃない。

人を指導したいわけでもない。

ただ、

余計な仕事を増やさないでくれ。

これだけなんですよね。

「俺はできる」じゃなくて、「それをやっていいのか」の話

うちの職場にも、まさにそういうことがありました。

ある入居者さんがいて、バルーンカテーテルが入っています。

トイレ希望がかなり多い方。

ただ、両足に力が入らず、移乗するときにこちらにぶら下がるような状態なので、トイレ介助は女子職員1人では無理。

安全面を考えて、基本的に1人では対応しない。

現場ではそういう認識になっていました。

ところが、ある職員が、

「俺はできる」

と、1人でトイレに連れて行ってしまう。

いや、できるんでしょうね。

実際、そのときは事故も起きなかったのかもしれない。

でも、問題はそこじゃない。

「自分ができるかどうか」と「施設としてその方法でやっていいか」は別の話です。

そこを個人の判断で変えられると、周りが困る。

しかも、この入居者さん、そこまで認知機能が低下しているわけではありません。

だから、

「この人はトイレに連れて行ってくれる」

と覚える。

当然ですよね。

一度やってもらったんだから。

ところが、別の日に別の職員が対応すると、

「トイレに連れて行ってほしい」

となる。

でも、その職員は1人では対応できない。

「今日は人が揃ってからね」

となる。

すると、

「○○さんは連れて行ってくれた」

となる。

さらに家族にも、

「トイレに連れて行ってもらえない」

みたいな話がいく。

……いや、だから。

誰がその説明するんだよ。

となるわけです。

親切のつもりでも、後始末をするのは別の人

たぶん、その職員本人に悪気はないんですよね。

「トイレに行きたいって言ってるんだから、連れて行ってあげればいいじゃん」

「俺はできるから」

そんな感じなんだと思います。

でも、現場ってそれだけでは回らない。

その場では親切に見える行動でも、その後に何が起こるかまで考えないといけない。

一人だけ特別な対応をすると、それが利用者さんにとっての「普通」になる。

そうすると、他の職員も同じ対応を求められる。

でも、安全面や人員配置の問題で、それができない。

結果、

「前はやってくれたのに」

という訴えが発生する。

そして、その説明をする。

家族にも説明する。

場合によってはケア方法そのものを見直す。

つまり、

一人の「俺はできる」で終わらないんですよ。

その後ろに、他の職員の仕事がついてくる。

中堅になると、こういうのが一番しんどい

新人さんが知らずにやってしまうなら、まだ分かります。

「この場合はこうするんだよ」

と教えればいい。

でも、ある程度経験のある人が、

「俺はこうしたほうがいいと思う」

で、施設のやり方を変えてしまう。

これが一番めんどくさい。

なぜなら、

「それは危ないですよ」

と言ったところで、

「でも俺はできるから」

で終わることがあるから。

いや、そういう話じゃないんだけど。

「事故が起きてから考えればいい」でもない。

「自分ができるから大丈夫」でもない。

チームでケアしている以上、

誰がやっても同じように安全に対応できること

って、ものすごく大事だと思うんですよね。

私はリーダーになりたいわけじゃない

こういう話をすると、

「じゃああなたが指導すればいいじゃん」

となるかもしれない。

でも、私は別に人を教育したいわけじゃない。

リーダーになりたいわけでもない。

ましてや、その人の仕事に対する考え方を一から変えてあげたいわけでもない。

私はただ、自分の担当業務をちゃんとやって、利用者さんの安全を守って、できれば定時で帰りたい。

それだけです。

だから、

「この人の考え方を変えなきゃ」

まで背負うと、こっちが疲れる。

「そういう人なんだな」

くらいでいい。

必要なことは、必要なルートで報告する。

この方法だとこういうリスクがあります

この対応をしたことで、利用者さんからこういう訴えが出ています

と、事実だけ伝える。

あとは管理する側に考えてもらう。

そして、余計な後始末を全部拾わない

中堅職員って、現場が分かっているからこそ、ついやっちゃうんですよ。

「あー、もう私がやったほうが早い」

って。

誰かがやらかしたことを、サッと修正する。

利用者さんへの説明もする。

家族への対応もする。

記録も整える。

その場は丸く収まる。

でも、それを繰り返していると、上から見たら

「現場はちゃんと回っている」

ように見える

実際には、一部の人のスタンドプレーを、周りの職員がせっせと回収しているだけなのに。

だから、何でもかんでも自分が拾えばいいわけじゃない。

もちろん利用者さんの安全に関わることは、その場で必要な対応をします。

でも、その後まで全部自分が背負う必要はない。

私はこういう理由でこの対応をしています

自分の責任範囲を明確にしておく

それでいいと思っています。

「自分ができる」は、チームケアでは免罪符にならない

介護でも福祉でも医療でも、

「自分はできる」

という人はいます。

そして、本当に能力が高くてできる場合もある。

でも、チームで仕事をしている以上、

「自分だけができる方法」ではなく、「誰がやっても安全にできる方法」

を考えないといけない。

そこを飛び越えて、

「俺はできるから」

でやられると、結局困るのは周り。

そして、その「周り」にいるのが、現場を知っている中堅ヒラ職員だったりする。

別に人を変えたいわけじゃない。

正義を振りかざしたいわけでもない。

ただ、

余計な仕事を増やさず、事故なく、自分の仕事を終わらせて帰りたい。

数年現場にいる職員の本音なんて、案外そんなもんだったりします。

「勝手な特別ケアをする人」と「それを後から回収する人」。

同じ職場にいると、たぶんこの差が一番しんどい。