施設看護師、巨大物流倉庫潜入ルポ(副業体験記)

5月 26, 2026 / by SEN / in 看護, 転職、副業

副業OKの職場にいた頃、
「ちょっと別の仕事もしてみるか」と思い、巨大物流倉庫のバイトに行ったことがある。

今思えば、あれはかなり異文化体験だった。


倉庫、広すぎる

最初に思ったのは、とにかく広い。
広すぎる。

「○番に持って行ってください」と言われても、
“その番号どこや……” である。

看護や介護の現場って、ある程度「人」が目印になるじゃないですか。
「あの人の隣の部屋」
「ナースステーションの奥」
「リネン庫の近く」
みたいな。

でも倉庫は、世界が全部“番号”。
方向感覚を失う。普通に迷子になる。


指にスキャナーを付ける未来の仕事

しかも装備が未来。
指にバーコードスキャナーみたいなのを付け、腕には端末。
バーコードを読んで、指定の棚に入れていく。

最初はちょっとテンション上がった。「近未来!!」って。

ただ、このスキャナーにも“当たり外れ”がある。
反応悪い子を引くと、全然読めない。
「え、なんで!?」
「さっきまでできたよね!?」
ってなる。焦る。取り替える。また焦る。

調子いいやつは常連さんが熟知しているから、すでに現場に出払っているのだ。残っているのは、私のような初心者が掴まされる微妙な端末ばかりだった。


倉庫は“静かな職場”ではなかった

倉庫って、もっと静かに黙々やるイメージだった。
でも実際は違った。

広すぎて、普通に声を張らないと聞こえない。
だから、
「こっちまだ全然来てない!!」
「いや、もうこっちいい!!」
みたいなのが、常に飛んでいる。

怒鳴ってるわけではない。ただ、声量が必要な世界。
でも医療介護しか知らない私には、ずっと怒声みたいに聞こえていた。


毎日来てる人には勝てない

自分の作業プロセス毎日勢の動き
バーコードを読む、棚番号を見る、ルートを考える、荷物を持つ…(全工程でフリーズ)最短ルートをノータイムで爆走

私は週1。勝てるわけがない。
何か起きるたびに、「え、これどうするんですか」状態。
看護や介護なら、経験年数が長い分、多少は応用が効く自信があった。でも倉庫は違った。

“慣れ”そのものが強さだった。(まあ、医療介護も慣れは強いけれど🤣)

ここで「勝ち負けって何?」と思った方もいるかもしれない。
実はこの世界、処理数ランキングがバチバチに貼り出される。
そして、基準に達しない者は容赦なく派遣切りに遭う。


医療介護とは、強い人の種類が違った

倉庫で個人的に面白かったのは、現場の上下関係。
医療介護の強さは、分かりやすい。

  • 資格、経験
  • 判断力、急変対応
  • 人間関係調整

でも物流は違った。何ができる人なのか、最初は全然分からない。
でも実際は、

  • ラインを止めない
  • システムを把握してる
  • 全体の流れを読める
  • 配置を理解してる

そういう人が強い世界だった。
日本で「見える化」って言葉を聞くようになってだいぶ経つけど、“可視化されにくい能力”って、やっぱりあるんだなと思った。
そしてそれは、医療介護側にも大量にあるんだと思う。


飲料で右腕が壊れた

ただ、私には致命的に合わなかった作業がある。
飲料。

飲料の段ボールをロールボックスに積む。
飲料しか積んでいないロールボックスを引っ張る。
これで右腕を壊した。

施設看護やってるし、体力はある方だと思っていた。でも全然違った。物流の筋肉は、また別。
今でも、靴を右手で持ち上げるだけで、右手首から肘までの筋肉が「いて……」となる。
“持ち上げる”動作そのものが駄目になった。


最後は、IDが消えていた

さらに、派遣の管理も独特だった。
3ヶ月くらい経った頃、派遣会社に急に別の仕事をやらないかと言われた。
「まあ、やってもいいですけど……」と返事をした。

そしたら、次に行った時には、もうIDが消えていた。
入れない。IDチェックに通してもらえない。ロックがあかない。
「あれ?」みたいな。

今思うと、現場との相性(あるいは処理数)があまり良くなかったのかもしれない。
まあ、そのまま辞めた。


向いてる世界が違った

倉庫は、未来みたいで面白かった。システムもすごかった。
バーコードを読む作業も、慣れるとちょっとゲームみたいで楽しかった。

でも私は、医療介護に染まりすぎていた。私は、

  • 人を見る
  • 空気を読む
  • 急な変更に対応する
  • 誰かの異変を見る

そういう仕事の感覚で生きていた。
倉庫は、悪い世界ではない。ただ、“向いている人”が違う。

それを知れただけでも、副業としては面白い経験だった。