次に入ったのは、例の“主任”がいた整形単科病院だった。
その病院は転職エージェント経由で応募して、その日のうちに内定が出た。
「えっ、早っ……」
とは思ったけど、
・車通勤OK
・家からわりと近い
・整形単科病院
・配属は療養棟
条件としては悪くなかった。
しかも小規模病院だったので、
「患者さんの人数もそこまで多くないだろうし、状態も覚えやすそう」
と、その時は前向きに考えていた。
私は施設経験の方が長かったので、病院勤務には少し不安があった。
だから面接の時に、
「病院経験が浅いので心配です」
と正直に話した。
すると看護部長さんが、当番病院の日に救急搬送されてきた患者さんの症例や、
「どこを骨折して、どんな手術をしたか」
という直近1年分くらいの資料を貸してくれた。
「これ見ておけばイメージつきやすいと思うから」
と言われて、
私はその時、
「うわ、優しい……✨」
と思ったのである。
だが、配置されてすぐに知った。
「看護師長、今週付で退職します」
だった。
そのため、シフト管理は看護部長、現場は主任が管理するらしい。
まあ、人が辞めるのは仕方ない。
その時は、
「そうなんですね……」
くらいに受け止めていた。
でも、働き始めて3日目。
私はもう一人で部屋持ちをしていた。
もちろん新卒ではない。
中途採用ではある。
でも、
「え、中途ってこんなスピードで独り立ちさせるもの……?」
とは思っていた。
しかも療養棟とはいえ病院。
施設とは記録も流れも違う。
まだ病院のやり方に慣れている途中だった。
そして10日目。
また新しい中途採用者が入ってきた。
すると私は、
「3日間ついて教えてあげて」
と言われた。
いや、私まだ10日目なんだが……?
と思ったけど、とりあえずやるしかない。
ただ、その人にどこまでやらせていいのかが分からなかった。
記録を書かせていいのか、
まだ見学中心なのか、
病院によってルールは違う。
だから私は、
「とりあえず3日で日勤業務の流れを見られたらいいのかな」
くらいに思っていた。
すると3日目、主任に言われた。
「なんで新人に記録書かせてないの?」
私は、
「まだ責任の所在が分からなかったので、私が記録書いてました」
と答えた。
すると主任、
「今の発言は許せない」
みたいな空気で怒り出した。
そして、
「この人に任せられないってこと?」
と。
……は??
と思った。
いや、そういう話じゃない。
私はまだ入職10日目。
この病院で、
どこまで新人にやらせるのか、
どういう段階で独り立ちなのか、
何も説明されていなかった。
だから私は、
「3日で独り立ちできるように、記録も書かせてって聞いてませんでした」
と返した。
すると主任は、
「分からないなら、なんで聞かないの?」
と言う。
いや。
最初から何も聞いてないですよね?
詳細な説明も、
教育方針も、
どこまで任せるかも。
だから私は、
「いや、最初から詳細なんて何も聞いてないですよね」
と返した。
完全に平行線だった。
こっちは、
「共有されてないから確認したい」
という話をしている。
でも向こうは、
「察して動け」
「聞かないお前が悪い」
という話をしている。
しかもこちらはまだ入職10日目。
病院の文化も、
暗黙ルールも、
主任の考え方も分からない。
なのに、
“説明されていないことを理解している前提”
で怒られる。
しかも業務の話をしているのに、
途中から“態度”や“考え方”の問題に変わっていく。
このタイプ、地味にかなりしんどい。
そして私は翌日、
転職エージェントに連絡していた。
「この職場、辞めるわ」
と。
理由はシンプルで、
「主任が無理」
だった。
もちろん、どこの職場にもクセの強い人はいる。
でも、
“説明されてないことを、分かってる前提で怒られる環境”
は、かなり消耗する。
しかも私はまだ入職1か月にもなっていなかった。
そしてこの退職相談が、
後に起こる、
「転職エージェント、爆速で看護部長との面談アポを取る事件」
へと繋がっていくのである。