老老介護で救急搬送。「病院で待っていてください」と言えない理由

介護施設で働いていると、救急車を呼ぶ場面があります。

救急要請をしたら、次にすることの一つが家族への連絡です。

「救急車を呼びます。来られますか?」

こんな電話をすることは珍しくありません。

キーパーソンが息子さんや娘さんなら、

「今向かいます!」

で終わることも多いのですが、施設では配偶者がキーパーソンというケースも少なくありません。

いわゆる老老介護です。

「今からタクシーで病院へ行きます」

先日、救急搬送が必要になった利用者さんがいました。

キーパーソンへ電話すると、出られたのは奥様。

「私も熱中症になっちゃって……でもタクシーで病院へ向かいます。」

そう話してくださいました。

ただ、その日は夜間。

まだ搬送先は決まっていません。

夜間や休日は、救急車がどこの病院へ搬送されるか分からないこともあります。

市内の中心部とは限りません。

受け入れ状況によっては、普段とは違う病院になることもあります。

「30分待つので施設へ来てください」

利用者さんの状態から、一刻を争う状況ではないと判断できました。

そこで私は、

「今日はどこの病院になるかまだ分からないんです。30分ほどなら待てますので、まず施設へ来ていただけませんか。搬送先が決まってから向かいましょう。」

とお伝えしました。

もちろん、重症で一刻を争うなら待ちません。

その場合は救命が最優先です。

でも、少し時間的な余裕があるケースでは、このほうが高齢の配偶者にとっても負担が少ないと感じています。

患者さんだけではなく、家族も高齢

老老介護では、搬送される本人だけではなく、付き添う家族も80代、90代ということがあります。

車は運転できない。

夜間にタクシーで移動する。

しかも、自分自身も体調が良くない。

そんな状況で、「病院で待っていてください」と伝えることが、本当に最善なのか考えてしまうことがあります。

利用者さんの安全はもちろん大切ですが、私は家族の安全もできるだけ考えたいと思っています。

正解が一つではない

もちろん、これは利用者さんの状態によります。

一刻を争うなら待つという選択肢はありません。

反対に、少し余裕がある状況なら、家族の移動や負担まで含めて考えることも、施設看護師の仕事の一つなのではないかと感じています。

皆さんの職場では、こういう場面でどのように対応していますか。